初めに
この記事は「日本音響学会 学生・若手フォーラム Advent Calendar 2023」4日目(代理)の記事です.著者はフォーラムでスタッフ(幹事会員)をしている中村です.
Tomohiko Nakamura - Tomohiko Nakamura
最近,東京大学の高道慎之介先生と**日本語のアカペラ重唱コーパス(jaCappellaコーパス)**を作っているので,その紹介と裏話などを書こうと思います.
jaCappella Corpus / jaCappellaコーパス
3-line summary
- jaCappellaコーパスは50曲の日本語6声重唱曲からなり,無償で研究利用が可能.
- コーパスを作るには勢いが大事.
- 重唱はいいぞ.
jaCappellaコーパスって何?
概要
このコーパスは,日本語の重唱曲50曲からなる研究用の歌声コーパスです.歌声合成や歌声分離など様々な音楽情報処理研究に利用できます.トレイラーがあるので,まずは聞いてもらえると分かると思います.(音楽制作会社さんに頼んだのですが,初めて聞いたときに「プロの仕事や!」ってなりました.)
jaCappella corpus (v2) trailer
jaCappella corpus (v2) trailer
以下の特徴があります.
- 声部:リードボーカル,ソプラノ,アルト,テノール,ベース,ボーカルパーカッションの6声
- ボーカルパーカションの入っているデータセットはなかなかないと思います.
- 歌唱データ:高品質な各声部の歌声録音(標本化周波数48 kHz)
- 譜面:MusicXML形式で歌声合成や譜面を対象にした音楽情報処理研究にも使いやすく整備
- 歌詞の分布も実際の商用重唱曲に近いことを確認しています.
- 譜面例:重唱の典型的な特徴が含まれていることが分かるかと思います.
- 多様なジャンル:各ジャンルをフィーチャーした10個のサブセット
- ジャズ,パンクロック,ボサノバ,ポピュラー,レゲエ,演歌,ニュートラル(童謡・唱歌),バラード,EDM,ソウル/ファンク
- 無償で研究利用可能
- 著作権保護期間の終了した童謡・唱歌を編曲してもらい重唱曲を作成.
- 編曲に伴う諸々の権利に関しても買い取り,研究者側でできる限りコントロールできるように整備.
- 商用利用はご相談ください.